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凡庸な悪

2026 4/02
ブログ Ishaブログ
2023年12月8日2026年4月2日

思えばこの数年、不慣れな地域活動や、子ども絡みの集団との関わりの中で、いろんなことに気がつかされてきました。

その集団で生じる諸問題、メンバーそれぞれの役割とその対応、自分の反応、色々と。

会社組織でだって、そういうことは多々あるのでしょうが、ボランティアという善意の名の下の集団には、個の利益や意志を尊重してはいけないという独特な雰囲気が漂っているのも事実です。

また、その集団が古く、歴史があったりすると、過去の約束事に従うのは、何よりも優先されます。

時代の変化に応じて成長発展していくことなど、はなから必要とされていません。

愚痴も含みつつ、そんなことをあれこれ思いながら、ふと「凡庸な悪」という言葉を思い出しました。

これは、ナチスのユダヤ人虐殺を実行した親衛隊の中佐であるアイヒマンを例えた言葉で、ヒトラーの計画を無慈悲に推し進めた極悪人と思われていた彼は、捕らえてみたら、凡庸すぎるほどに普通の男だったという、驚きの事実に基づいています。

つまり、悪を提唱するのはカリスマかもしれないが、それを実行するのは、カリスマの元に集まる個性のない凡庸な者たちだということなのです。

悪の実行者は、いわゆる普通の人で、正しい国民・市民であり、良識的な人のように振舞っています。

所属することが彼らの最大の目的で、所属をはみ出すものは、罰します。

厳しいルールで集団を縛り、仮にそのルールが、ユマニテ(人間性)に反していたとしても、集団への所属が重んじられるため、盲目なまでに、ルールに従い続けます。

これは決して、悪の計画の元に形成された集団にだけ生じることではありません。

より良い世界を目指すためのチームであっても、所属が優先されると、本来の目的を忘れて、チームは向かうべき方向を見誤ってしまいます。

所属にこだわる人というのは、個の意識はなく、自分よりも権力のあるものに従おうとします。

これは、健全な自我を持たない共依存型の人が、自らの居場所を求めることで生じます。

つまり、カリスマ的リーダーのコントロールと支配欲が、所属を求める人たちの依存のニーズと合致している時に構築され、強化されていくのです。

この場合、セラピューティックな視点において大事な理解は、リーダーもメンバーも自己承認欲求という恥の意識に従っているということです。

所属=群れ

では、逆に、集団が所属という共依存的関わりを求めなければ、何が起こるのだろう!?

所属とは、まさに、群れのことです。

なぜ群れが必要かというと、サバイブするためです。

サバイバーたちが生き残りという幻想の中にある時、

その人たちは、常に危機感にあるので、群れを求めます。

もし、その集団が群れに適さないのならば、サバイバーには、断絶と孤独しか選択がありません。

そこでは自分は生きていけないという恐怖心がありながら、所属し群れる以外の関わり方を知らないためです。

仮に、その集団を自分のやり方で支配したいと思うなら、ルールと役割という群れの掟を守れない仲間は、誰であっても糾弾しますし、引き摺り落とそうとするでしょうが、その場合も、うまいかなければ、孤独がやってきます。

その集団は、自分の望む所属という幻想を可能にしてはくれないのですから。

人は、結局自分の見たい現実を見て、自分のマインドが望む世界を生きています。

現実(=現象)は、私たちの内側の真実です。

現実が大混乱していながら、内的には何も感じない、または、とてつもなく混乱しているとしたら、分裂、逃避、麻痺が生じています。

現実の大混乱を静かに眺めながら、内的な混乱を観ているとしたら、観察、意識化、自己受容が生じています。

現実の豊かさを味わいながら、内的にも喜びを感じているなら、統合、クリエイション、愛と信頼が現実化してます。

そんな時、私たちは、愛の具現者であり、集団の中で個を失った人ではありません。

群れからチームへ​

では、群れとチームって、一体どのように違うのでしょう。

群れは、絶対的ルールと役割を求めますが、チームは自由と責任を求めます。

時代が、群れではなく、チームを求めているのは明らかです。

そして、群れを脱し、チームへ成長するためには、個の成長が求められます。

つまり、私たちは、それまでの所属しルールに従うか、そうできなければ断絶と孤独しかないという痛々しい群れの掟から、自由と責任とともに関わり、常に成長するチームへとシフトする時が来ています。


もちろん、関わりたいかどうかは、個人の自由です。

ブラック企業と呼ばれるような所属を求める群れに、自由の尊重や愛のある関わりを求めたって無理でしょう。

そこにあるのは支配と服従ですから、それに気が付いたら、NOと言って去っていいんです。

また、関わりを求める新時代のチームに、自分を投げ捨てて所属を誓い続けたって無意味でしょう。

承認欲求が満たされない苦しさで防衛手段に出るなら、チームはその人の関わりに限界を感じるかもしれませんし、これ以上自分の戦略が役に立たないと思って断絶するなら、チームはその人を尊重して気持ちよく送り出すでしょう。

もちろん、成長を望み、関わりを選択するなら、チームはその人を温かく迎え入れるでしょう。

究極、世界には集団などなく、存在するのは個です。 大きな一つの愛(ワンネス)というのは、磨かれて輝いた個の集まりであって、境界線を失った依存的なエゴの集まりではありません。

自分が何を選択するのか。 所属か孤独かというこれまでの痛みに満ちた集団の幻想から、関わりと個という、愛の循環の世界へ入っていく時。

古いものが落ちていく痛みはあるけれど、その先にやってくる世界は、豊かさと喜びに開いています。

今、私は、地域活動という古い群れを興味深く観察しながら、ハートエデュケーションセンターという活動を通して、新時代のチームの今とこれからを見つめています。

家族システムやトラウマケアをテーマに活動中。現場の声をもとに、家族・教育・社会の「見えない構造」を読み解く。

川村法子

ハートエデュケーションセンター代表

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